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同一労働同一賃金

2020/02/04 09:41|カテゴリー:働き方改革

近年,「同一労働同一賃金」という言葉を各種メディアで目にすることが多くなりました。

「同一労働同一賃金」を素直に読めば,「同じ労働作業(業務)をしている人には同じだけの賃金が支払われる」という意味に読めますが,実社会を見ると,同じ職場で同じ業務をしている人でも賃金格差があるという職場がむしろ多いのではないでしょうか。

単に同じ業務をしているかどうかだけで比べ,それが同じであれば同じ賃金にするという意味で「同一労働同一賃金」を定義するのであれば,今の日本には「同一労働同一賃金」の原則を定めた法規制はありません。

現在の労働法制やメディアで言及されている「同一労働同一賃金」が問題としているのは,主として,正社員と非正規社員(契約期間の定めがある有期労働者,パートタイマー,派遣労働者等)との間の賃金格差です。通常,正社員と非正規社員とでは,同じ業務に従事しているように見えても,職務責任の範囲が異なったり,正社員には配置転換,能力や経験に応じた昇格制度,職務や職能に連動した給与体系が存在するなどの違いが設けられていることが多いでしょう。このような場合,単に業務内容だけを比べると違いがないように見えますが,その他の事情も含めて比べると,正社員と非正規社員とでは違いがあることになります。正社員と非正規社員との違いを認め,その違いの中身を特定し,その違いに応じた賃金格差であるときちんと説明できる場合には「適法な賃金格差」であり,説明できなければ「違法な賃金格差」であると考えようというのが,現在の労働法制の基本的な考え方となっています。

正社員と非正規社員の位置付けや人事制度は会社によってまちまちですので,個別具体的な判断が不可欠となります。賃金格差の問題を検討するにあたっては,その会社ごとに,正社員と非正規社員との違いの有無・内容を整理して,その違いに応じた賃金制度となっているかどうかを検討していくことが大切です。