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契約書の作成・確認

「取引相手を信用していたから契約書は作っていません…」
そう言って相談に来られる企業様も多くいらっしゃいます。
確かに、法律上、契約書作成行為は契約成立の要件とはなっていません(保証契約等を除く)。
しかし、口約束だけでは詳細な内容が不透明となり、契約当事者の認識を確認することができず、本当は契約当事者双方の認識が異なっており、紛争の温床になることも多くあります。また、契約書がなければ、後日、当事者の見解が食い違った時、どちらの見解が正しいのか証明することもできません。
ですので、紛争を未然に防ぎ、かつ、万が一紛争となった場合でも有利な解決をするためにも、契約内容を明確にして契約書を作成することが重要です。
また、内容を十分理解しないまま、契約書にサインをすることは大変危険です。後々、大きなトラブルになりかねません。弁護士は、契約書の条項が法律に違反していないかのチェックはもちろん、将来トラブルが発生しないよう、曖昧な条項を明確化いたします。
取引相手との力関係や、時間上の制約により、意に添わないまま契約書にサインしてしまわないよう、契約書作成のお手伝いをいたします。

契約書の作成・確認

契約書がなく失敗した事例

契約書がなくて売掛金を回収できない・・・
契約書の内容が不備で多額の損害賠償を請求された・・・

「取引相手は良いところばかりでトラブルにはなったことがない。契約書はトラブルが発生したときに必要になるのだから、トラブルにならなければ必要ない!」
そのように言って、取引関係や労使関係について何も契約書を作成していない企業様もいらっしゃいます。
確かに、信頼関係がある場合には、契約書がなかったり、契約書の内容に不備があったりしても問題とはなりません。
しかし、信頼関係が失われ、紛争になってしまった時には、自社の盾となり裁判の武器(証拠)となる契約書が必要です。紛争になったときに契約書がなかったり、契約書に不備があったりすれば、自社の正当性を証明するものがなにもないことになり、裁判でも事実と異なる認定がされるなどの大きなリスクを背負うことになってしまうのです。

契約書がなく失敗した事例

契約書がなくて失敗した事例

契約書を作成せず、口約束だけで自宅の請負工事を進めていたところ、注文者から追加工事の依頼が頻発し、口頭で追加料金を示していたものの何らの書面の取り交わさず建築工事が終了しました。
工事終了後に当初の請負代金に加えて、追加工事代金を請求したところ、「当初の請負代金に含まれていると思っていた。」などと反論され、きちんと事前に説明していたことを伝えても聞き入れてもらえず、何ら証明する資料もないことから数百万円に及ぶ追加工事代金の回収ができなかった事案。

以上は契約書がなかったために発生するトラブルの一例ですが、会社が注文者から追加工事の発注を受け、数千万円分の追加工事を行ったとしても、注文者との間で追加工事に関する契約書を交わしておかなければ、後日注文者が支払いに応じなかった場合、数千万円分の売掛金を回収できないという事案は、意外と多くあるのです。
また、契約書の条項の中に、損害賠償額の上限規定を設けていなかったために、取引中のミスによって多額の損害賠償金を請求されてしまい、会社の経営に深刻なダメージを受けてしまうことも起こりえます。
安心して継続的に企業活動を行っていくためにも、法律の専門家である弁護士による契約書の作成,リーガルチェックをお勧めします。

契約書の作成は会社経営に必要不可欠

たった1通の紙が、会社経営を守ることを知りましょう。

契約書は、会社の取引関係の存在を証明するための重要なツールです。
たった1枚の契約書が、数千万円の取引が交わされたことを保証する証拠となることさえあります。
適切な契約書を作成・管理することは、会社運営にあたって必須事項といえます。
会社を経営していく上で行う様々な取引をする際には法的観点での調査、すなわちリーガルチェックが必要不可欠です。
契約書は、企業活動に伴うトラブルを防止するとともに、リスクをコントロールすることを可能とします。すなわち、契約書は、安定的な企業活動を行うための自社の「盾」となり、何ら根拠のない主張で請求を拒む相手方との交渉や訴訟において、相手方の主張を突き崩す企業活動の「矛」ともなります。

契約書の作成は会社経営に必要不可欠

企業コンプライアンスが重視される現在、信頼関係だけで企業活動を行うことは困難であり、契約書を作成していなければ、安定的・継続的な企業活動を行うこと自体が困難な時代になったことを認識しなければなりません。
では、契約書さえあれば内容はどうでもいいのかというと、当然そんなことはありません。契約書があったとしても、法的に正しい内容でなければ、トラブルが発生したときに適切に解決することはできません。
契約書の作成・リーガルチェックによって、企業活動を強化することが可能となるのです。

弁護士による契約書チェックのメリット

契約書の作成を弁護士に依頼する会社は、まだまだ少数かも知れません。しかし、市販の契約書やネット上に掲載されている契約書の雛形は、各企業の個別の取引には適合していない場合も多くあるので、弁護士によるリーガルチェックは必要不可欠です。
市販の契約書を使っている場合、いざ紛争になってから、契約書を見て肝心なことが取り決めていなかったということもあります。
取引先から提示された契約書も、取引先に有利な条項ばかりあるということも十分にありえる話です。
当事務所は、不動産業、建設業、設備工事業、設計デザイン業、運輸業、保険代理店、金融業、デザイン業、飲食業、情報通信業、清掃業、クリーニング業、小売業、学習塾、農業法人、医療法人など多数の企業と顧問契約を締結しており、様々な契約書のリーガルチェックに関与した経験があります。
既に契約書を作成・利用しているとしても、紛争解決のプロである弁護士のリーガルチェックをお勧めします。

弁護士による契約書チェックのメリット

1.紛争の未然防止(予防法務)

契約書の作成・リーガルチェックによって、当事者双方の取引内容に関する認識を明確にし、契約によって発生する権利関係を確認します。そして、取引によって生じる将来起こりうるリスクを未然に確認して、将来のトラブルを防止することが可能となります。

2.リスクマネジメント

企業経営においては一定のリスクは不可避とすらいえるでしょう。しかし、企業取引におけるリスクは、相手方が契約違反した時の違約金条項の設定、自社が様々な理由で契約を履行できなくなった際の損害賠償額の上限設定や契約を解消できる場合の規定など、様々な条項を組み合わせることで、当該契約から予想されるリスクを一定範囲に管理することが可能となります。

3.裁判上の証拠としての活用

契約書は信頼関係がある場合はなくても問題となりません。契約書の存在が企業の盾や矛となるのは信頼関係が失われ、トラブルが裁判にまで発展した場合なのです。多くは契約内容に関する当事者双方の認識の違いが争点となります。裁判官は神様ではないので、当事者の言い分が異なる時はどちらが正しいことを言っているのか分かりません。そのように当事者の言い分が異なるときに、裁判において契約内容を明確にするのが契約書なのです。
契約書のリーガルチェックによって、貴社にとって有利な内容を事前に整備することで、裁判を有利に進めることが可能となります。

4.取引内容に応じた適正な契約の実現

市販の契約書やインターネット上の契約書の雛形は、あくまでも一つの例にすぎず、得てして当事者双方が望んでいる個別事情を加味した取引内容に適合していないことが通常です。
しかも、これらの契約書の雛形は、信頼関係が失われ、トラブルにまで発展してしまったときのことを念頭に置いて作成されていないこともあります。
このような雛形の契約書のままでは、トラブルが発生したときに企業を守ることも、裁判の際に有効な武器として機能することも難しいことがあり得ます。
当事務所は、様々な企業の紛争解決に携わってきました。紛争解決に携わってきた立場だからこそ、紛争の発展を未然に防ぎ、また裁判となった際に有効な武器となる契約書の重要性を認識しています。
当事務所では、当事者双方の言い分や考えを十分に把握したうえで、個別事情を盛り込んだ契約書にしなければ、当該取引の契約内容を実現するサポートをすることができます。

契約書の種類

契約書には様々な種類があります。既に契約書を作成・利用しているとしても、紛争を未然に防止するために法律専門家である弁護士のリーガルチェックをお勧めします。

契約書の種類

1.不動産の売買契約に関する契約書

  • 売買予約契約書
  • 買戻特約付売買契約書
  • 借地権付底地売買契約書
  • 通行地役権付土地売買契約書
  • 建物取壊条件付更地売買契約書
  • 抵当権付売買契約書
  • 農地売買契約書
  • 借地権付建物売買契約書
  • 地主による建物買取契約書

2.動産の売買に関する契約書

  • 物品売買契約書
  • 機械売買契約書
  • 割賦払機械売買契約書
  • 動産譲渡担保契約書

3.継続的売買取引に関する契約書

  • 継続的商品取引基本契約書
  • 原料取引基本契約書
  • 継続的商品供給契約書
  • 担保権付継続的取引契約書
  • 部品製造委託売買契約書

4.不動産・動産の賃貸借に関する契約書

  • 定期借地権設定契約書
  • 建物譲渡特約付借地権設定契約書
  • 定期建物賃貸借契約書
  • 定期建物賃貸借契約説明書
  • 土地一時使用賃貸借契約書
  • 事業用借地権設定に関する覚書
  • 自己借地権設定契約書
  • 駐車場用地賃貸借契約書
  • 借地権譲渡契約書
  • 広告塔掲載契約書(屋上使用契約書)
  • 借地契約の更新契約書
  • 土地転貸借契約書
  • 地代催告兼契約解除通知書
  • 土地賃貸借契約の更新拒絶の通知書
  • (売上歩合による)賃料変動型店舗賃貸借契約書
  • 一時使用の店舗賃貸借契約書
  • 営業許可契約書
  • 社宅使用契約書
  • ビル内駐車場の使用契約書
  • 確定期限付建物賃貸借契約書
  • 動産賃貸借契約書
  • 自動車賃貸借契約書
  • 動産リース基本契約書
  • 不動産コンサルティング契約書
  • サブリース契約書

5.使用貸借に関する契約書

  • 土地使用貸借契約書
  • 建物使用貸借契約書
  • 動産使用貸借契約書
  • 使用貸借基本契約書
  • 使用貸借物の返還請求書

6.金銭消費貸借・債権債務に関する契約書

  • 金銭消費貸借契約書
  • 手形貸付による金銭消費貸借契約書
  • 分割貸付による金銭消費貸借契約書
  • 限度貸付による金銭消費貸借契約書
  • (根)抵当権設定金銭消費貸借契約書
  • 公正証書作成用金銭消費貸借契約書
  • 給料天引きによる割賦償還用金銭消費貸借契約書
  • 金銭準消費貸借契約書
  • 債務弁済契約書
  • 履行引受書
  • 相殺通知書
  • 相殺契約書
  • 債務免除証書
  • 債権債務不存在確認書

7.抵当権・根抵当権・その他担保権に関する契約書

  • (根)抵当権追加設定契約書
  • 根抵当権極度額増額変更契約書
  • 根抵当権の債権の範囲変更契約書
  • 免責的債務引受による(根)抵当権変更契約書
  • (根)抵当権の譲渡契約書
  • 根抵当権全部譲渡承諾書
  • 転抵当権設定契約書
  • 抵当権の順位変更契約書
  • 仮登記担保設定契約書
  • 停止条件付代物弁済契約書
  • 譲渡担保契約書
  • 質権設定契約書
  • 質権設定承諾願い兼承諾書
  • 転質権設定契約書
  • 債権質設定通知書
  • (根)抵当権解除証書

8.債権譲渡・債務引受に関する契約書

  • 債権譲渡契約書
  • 抵当権付債権譲渡契約書
  • 債権譲渡通知書
  • 免責的債務引受契約書
  • 重畳的債務引受契約書
  • 債務承認・弁済契約書
  • 債権譲渡担保契約書
  • 集合債権譲渡担保契約書
  • ファクタリング契約書

9.贈与契約に関する契約書

  • 贈与契約書
  • 負担付贈与契約書
  • 死因贈与契約書
  • 負担付死因贈与契約書
  • 定期贈与契約書
  • 停止条件付動産贈与契約書
  • 死因贈与の取消通知書

10.委任・委託・寄託・信託に関する契約書

  • 業務委託契約書
  • WEBサイト運営・管理業務委託契約書
  • 商品販売委託(代理商)契約書
  • 商品販売委託(問屋)契約書
  • 営業委託契約書
  • 経営委託契約書
  • 開発業務委託契約書
  • 賃貸不動産管理委託契約書
  • 清掃業務委託契約書
  • 警備委託契約書
  • 顧問契約書
  • 寄託契約書
  • 経営コンサルティング契約書
  • アドバイザリー契約書
  • マンション管理委託契約書
  • 債権管理委託契約書
  • 債権回収業務委託契約書
  • 不動産の管理処分に関する信託契約書
  • 金銭信託契約書
  • 株式の管理処分に関する信託契約書
  • 後継ぎ遺贈型受益者連続信託契約書
  • 金銭の追加信託契約書
  • 信託の受託内容変更契約書
  • 受益者変更契約書

11.人事労働契約に関する契約書

  • 労働契約書
  • 臨時雇用の労働契約書
  • パートタイマーの労働契約書
  • アルバイトの労働契約書
  • 外国人労働者の労働契約書
  • 試用契約書
  • 入社の際の誓約書
  • 秘密保持契約書
  • 就業条件明示書
  • 就業規則
  • 賃金規程
  • 退職金規程
  • 身元保証契約書
  • 保証人に対する事故通知書
  • 出向契約書
  • 労働者派遣契約書

12.請負に関する契約書

  • 工事請負契約書
  • 製造委託契約書
  • 保守契約書
  • 商品運送契約書
  • 製造物供給契約書
  • 産業廃棄物運搬契約書

13.会社運営・社内手続に関する契約書

  • 株式譲渡契約書
  • 株式の譲渡承認又は相手方指定請求書
  • 株式譲渡の相手方指定通知書
  • 株式売渡請求書
  • 新株予約権付与契約書
  • 合併契約書
  • 株式交換契約書
  • 会社分割計画書
  • 営業譲渡契約書
  • 支配人選任契約書
  • 支配人に対する介入権行使の通知書
  • 始末書
  • 競業禁止に関する誓約書
  • 証券代行事務委託契約書

14.商取引に関する契約書

  • 取引基本契約書
  • 業務委託契約書
  • 秘密保持契約書
  • 継続的商品売買契約書
  • 代理店契約書
  • 特約店契約書
  • フランチャイズ契約書
  • 店舗経営委任契約書
  • コンサルタント業務契約書
  • OEM基本契約書
  • 共同開発契約書
  • ノウハウ実施契約書
  • 業務支援契約書
  • 広告掲載契約書
  • インターネット広告掲載契約書
  • アフィリエイト広告掲載契約書
  • プロバイダー契約書
  • IR情報提供契約書
  • 出資契約書
  • 投資契約書

15.知的所有権に関する契約書

  • プログラム使用許諾契約書
  • プログラムリース契約書
  • ソフトウエア開発委託契約書
  • ソフトウエア開発ライセンス契約書
  • 技術共同開発契約書
  • 商標専用使用権設定契約書
  • 商標使用権許諾契約書
  • 商標権の譲渡契約書
  • 特許専用実施権設定契約書
  • 特許通常実施権相互許諾契約書
  • 特許権の譲渡契約書
  • 職務発明に関する特許権の譲渡契約書
  • 実用新案通常実施権設定契約書
  • 実用新案専用実施権設定契約書
  • 意匠権専用実施権設定契約書
  • 意匠権通常実施権設定契約書
  • キャラクター使用許諾契約書
  • 出版契約書
  • 原稿執筆業務委託契約書

16.成年後見・財産管理に関する契約書

  • 任意後見契約公正証書
  • 複数任意後見人選任契約公証証書
  • 財産管理契約書
  • 見守り契約書
  • 死後事務委任契約書

契約書作成の注意点

契約書は、企業間の取引内容を明確にして、トラブルを防止するために必要不可欠のツールです。たった1枚の契約書が、自社の数千万円の売掛金を守るための重要な証拠となることもあります。
当事者双方の認識が一致した内容が明確な契約書を作成・管理することは、会社の継続的な発展にあたって必須事項といえます。
以下では、契約書の作成にあたり注意すべき事項を整理していますので、契約書の作成等を検討している企業関係者にご参考いただければ嬉しく思います。

そもそも「契約書」って何ですか?

契約書とは、二名以上の個人ないし法人が当事者となり、相互に意思表示を行い、これらの意思を一致させて、当事者間において権利義務を発生させる合意を、誰が読んでも理解できるように文書化して、その文書は自分たちの意思で行ったことを当事者間または第三者に証明するために、署名又は押印したものです。

「契約書がない以上、御社とは有効な契約は成立していないので、御社に対して金銭を支払う必要はない」と言われました。どうしたらよいのでしょう!?

民法上、保証契約を除き、原則として契約書を作成しなくても契約は成立しますので、ご質問のケースでも契約の成立は否定されません。しかし、簡単な内容の契約や期間の短い契約であっても、裁判上は契約書という証拠がなければ契約自体の成立が認められないことすらあります。

「誰と誰が」「どんな内容を」「いつ」合意し、その結果「いつから、いつまで」「誰にどのような権利義務が発生しているのか」が、第三者がみても分かるように、契約書に記載されていることが望ましいといえます。

当事者の合意内容を明確にして将来の紛争を予防する観点からも、企業活動において契約書を作成しておくことは必須事項と言うべきなのです。

メールやファックスでは契約書と言えないのでしょうか?

民法上、保証契約等を除いて、契約の成立要件として書面の作成は要求されておりません。メールやFAXはもちろん、口頭で合意した場合であっても原則として契約は有効に成立します。

契約書の印鑑が実印じゃなかったら契約書は無効だと言われました。本当でしょうか!?

民法上、保証契約等を除いて、契約の成立要件として書面の作成は要求されておりません。契約書の押印は、押印は実印である必要はなく、認印でも契約書の効力に差異はありません。

なお、「実印」とは、印鑑登録されている印鑑証明書が発行される印鑑のことをいい、「認印」とは、印鑑登録がされていない印鑑いわゆる三文判のことをいいます。

実印と異なり、認印は簡単に購入できてしまうため、他人が権利者になりすますして不正を行うリスクが高くなります。そこで、重要な契約書では実印を求めることもリスクを減らす一つの方法と言えるでしょう。

契約書に割印や捨印を押すように求められました。割印や捨印とはなんですか?

割印は契印と呼ばれることもあります。
割印は、契約書が複数枚になった場合に、契約書を差し替えるという改ざんを防ぐために行われます。各ページを跨いで前のページと後のページの両方に陰影がかかるように押します。

割印1

契約書のページ数が多い場合は、それぞれのページに印鑑を押すのは大変なので、契約書全ページを袋とじにして、表表紙と裏表紙の袋とじの部分にのみ印鑑を押すことによって割印とする方法があります。

割印2

実務上、捨印は訂正印として利用されます。後から軽微な変更をする場合に使用します。
軽微な変更とは、例えば誤記の訂正です。合意した契約内容に合うように訂正する場合であれば問題は発生しません。
しかし、契約金額を訂正するような軽微でない訂正は、捨印で変更することはお勧めできません。

消印とは、契約書に収入印紙を添付した場合に、その収入印紙を再利用できないようにするため、契約書と印紙に跨るように押す印鑑のことをいいます。消印は契約の一方当事者のみが押せばよいとされています。

「念書」「誓約書」「示談書」など、契約書のタイトルには、法律上何か規定があるのでしょうか?

「合意書」「念書」「誓約書」「示談書」その他さまざまなタイトルがありますが、「付け方に特に制限はありません。契約書のタイトルで契約内容が決まるのではなく、契約内容を決めるのは契約書本文です。例えば、タイトルが「売買契約」となっていても、契約書本文の内容が「贈与」であれば、この契約は贈与契約となります。

契約書に明記されたタイトルが直ちに契約内容を規律したり、契約内容に影響を与えたりするわけではないことに注意する必要があります。

契約書の中には、売買契約と業務委託契約の要素を兼ね備えた契約類型があるように、取引慣行や契約当事者の特性に応じて、多種多様な契約類型があり、法律上タイトルの付け方に制限はありません。

ですので、契約内容は、契約書のタイトルで判断せず、契約書の条項をよく読むことが大切です。契約書を作成したり、チェックしたりする際は、契約書の記載内容すなわち契約内容自体に着目する必要があります。特に、相手方から契約書の提示を受けた場合には、タイトルにとらわれることなく、契約書の各条項を精査し、慎重に吟味・検討するようにしましょう。

なお、実務では、契約書の各条文にも表題(見出し)が付けられることが多いですが、各条文の概要を明確にし、読みやすくするためであり、タイトルのみにとらわれることのないよう注意する必要があります。

契約書に記載する当事者の表記(甲・乙等)について何か法律上の規定がありますか?

当事者の表記に関して法律上の規定はありません。実務上も契約書の種類に応じて当事者の表記は様々です。

甲・乙という表記をする場合もありますが、例えば売買契約であれば「売主」・「買主」とし、金銭消費貸借契約では「貸主」・「借主」と表記して、契約書を見たときに分かりやすくすることもあります。契約書の類型に合わせた表記とする方が読んでいて理解しやすく、誤記の防止にもなるとも言えます。

その他、売買契約書であれば、「売主」・「買主」という表記のほか、「譲渡人」・「譲受人」という表記でも構いません。

賃貸借契約書では「賃貸人」・「賃借人」とするほか、「貸主」・「借主」とすることでも良いと思います。事業用物件では「オーナー」・「テナント」とすることもあります。

工事請負契約書では「発注者」・「受注者」としたり、「受注者」の代わりに「請負人」、「施工業者」、「工事業者」などとすることも考えられます。

様々な取引において取引基本契約書という契約書が作成されますが、例えば、製品等の売買の場合は、当事者を「売主」・「買主」と表記したり、サービス提供に関する基本契約の場合、業務委託に準じて「委託者」・「受託者」としたり、「発注者」・「サービス提供者」とすることもあります。

原本は何通作成する必要がありますか?

原本を何通作成するかについても、契約書のタイトルや当事者名の表記と同様、法律上何ら制限はありません。

通常は、当事者が2者であれば2通など、当事者の人数分作成し、それぞれ1通保管すると規定することが多いですが、契約書毎に収入印紙を貼る必要がありますので、当事者の1人のみが原本を保管し、他の当事者はこれをコピーした「写し」を保管するという取扱いをすることもあります。

会社で契約を締結します。契約書には取引担当者である従業員個人の印鑑を押せばいいのでしょうか。

個人ではなく、会社が当事者となる場合には、契約書には取引担当者である従業員個人の印鑑ではなく、通常は会社印の押印が必要となります。

もっとも、取締役以外の部長等の従業員であっても、会社から対外的代表権を与えられていれば、有効に契約を締結することができますが、業務権限を証明する書面を確認のうえ写しを取っておくなど、後日トラブルになった時の備えをしておくべきでしょう。

収入印紙が張ってない契約書は無効になるのでしょうか?

一定の契約書については、印紙税の納付が義務づけられており、印紙の貼付等が必要となる場合があり、印紙税法上、課税文書として印紙税を納付する必要がある文書が定められています。

しかし、契約書に収入印紙が貼られていない場合だとしても、契約書として無効になりません。 ただし、印紙税法違反となります。収入印紙が貼っていないことが分かった場合は、収入印紙代金の2倍の金額が超過課税となる罰金が科せられます。

罰金はそれほど痛くはありませんが、社会的に脱税した事実により、信頼を失いまたコンプライアンス違反のレッテルが貼られるため、収入印紙の貼付け忘れは気を付ける必要があります。

「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」の違いは何ですか?

契約書において、法律上このルールに従わなければならないという規定はありませんが、法律用語としてはルールがあります。そのため、当事者間で契約内容の解釈に齟齬が生じてトラブルに発展しないよう、法令用語のルールに則って契約書も作成することをお勧めします。

「直ちに」は、時間的には一番早さが求められるものであり、一切の遅れることは許されません。

「速やかに」は、可能な限り早くとの意味合いで、「直ちに」「遅滞なく」と異なり、訓示的な意味で使われることが多く法的拘束力は弱いと言えます。

「遅滞なく」は、事情の許す限り早くとの意味合いで、合理的な理由があれば遅延は許されます。

「みなす」「推定する」の違いは何ですか?

「みなす」は、法律上成立が擬制されるものであり、みなされた事項について、反対事実を証明して覆すことはできません。
「Aであれば、Bとみなす。」という規定があった場合、「Aである」以上は、どんなにBではないと主張・立証しても、「Bではない」とされることはないことになります。
例えば、民法753条では、「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」と規定されており、未成年者であっても婚姻をした場合は、成年者として扱われるのであって、いくら未成年者であることを主張・立証しても覆らないことになります。

一方、「推定する」は、その名のとおり法律上成立が推定されるものであり、推定された事項については、反対事実を証明して覆すことができます。
「Aであれば、Bと推定する。」という規定があった場合、たとえAであったとしても、Bではないと反証することに成功できれば、「Bではない」とされます。
例えば、民法772条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」とされています。この場合、「夫はその期間ずっと刑務所に入っていて妻との性交渉が一切なかった。」ということを証明することができれば、「妻が婚姻中に懐胎した子=夫の子」ということを覆すことができます。

「解除」「解約」は何か違うのでしょうか?

「解除」とは、契約の効力を過去にさかのぼって消滅させ、当該契約が初めから存在しなかったことと同じ法律効果を発生させることを意味します。

これに対して、「解約」とは、契約の効力を将来に向かって消滅させることを意味します。たとえば、賃貸約のような継続的な契約関係において、契約当事者の一方の意思表示により、契約の効力を将来に向かって消滅させることは、「解除」ではなく、「解約」といいます。

「無効」「取消し」「撤回」の違いは何ですか?

「無効」とは、法律上の効果が初めから生じないことをいいます。
これに対して、「取消し」とは、瑕疵のある法律行為の効力を過去に遡って消滅させることをいいます。
そして、「撤回」とは、意思表示をした者が、その効果を将来に向かって消滅させることをいいます。
一般的は明確に区別されていない用語も、法律上は明確に区別されていることがあるので注意が必要です。

「善意」と「悪意」の正確な使い分けが分かりません。

一般的には、「善意」とは、道徳的に良い動機のこと、「悪意」とは道徳的に悪い動機のことを意味して使用されますが、法律的には大きく意味が異なります。

法律上「善意」「悪意」とは、ある事実に対する知・不知を意味する用語であり、「善意」は、ある事実を知らないことをいい、「悪意」は、ある事実を知っていることをいいます。日常的に使用する意味での道徳的な意味合いは一切関係がありませんのでご注意ください。

「又は」「若しくは」、「及び」「並びに」は何か違うのでしょうか?

一般的な意味から言えば、どちらもいわゆる選択的接続詞であり差異はありませんが、法令用語としては厳格に使い分けられています。

「又は」は、数個の語句を単純に並列するだけのときに使用します。例えば、「甲又は乙」、「甲、乙又は丙」などの記載をします。

「又は」は、大きな接続の段階で使用する一方、「若しくは」はその下の小さな接続において使用します。
例えば、「甲若しくは乙又は丙」と記載されていた場合、数式で示すと数式で表現すれば、《(甲 or 乙) or 丙》 となります。

「及び」は、数個の語句を単純に並列的に並べるだけのときに使用します。例えば、「甲及び乙」、「甲、乙及び丙」などの記載をします。

他方、「並びに」も「及び」と同じく併合的接続詞です。この併合的接続が二段階になる場合に「並びに」を使用します。小さいほうの接続に「及び」、大きいほうの接続に「並びに」を使います。具体的には、「甲・乙グループ」と「丙」に分けられる場合、「甲及び乙並びに丙」と記載します。

契約書チェックのポイント

契約書を作成する際には、少なくとも以下の事項をチェックしなければなりません。

1.取引の約束事など契約内容となる条項がモレなく入っているか

2.法的に認められない条項が入っていないか

3.形式に不備はないか

契約書チェックのポイント

1.取引の約束事など契約内容となる条項がモレなく入っているか

契約書を作成する目的は、当事者双方の認識に齟齬がないように契約内容を明確にして、後にトラブルが発生しないようにするためです。契約書を作成しても内容が不十分であれば、意味がなくなってしまいます。
したがって、当事者双方の言い分を正確に把握し、業界の慣習・特殊性も加味しながら、どのような権利義務関係を構築するのか慎重に検討しながら、契約書を作成していかなければなりません。
以下では、通常の取引において規定しておいたほうがよいと思われる基本的な条項を掲載しています。

<目的物の特定>

例えば、物の売買の場合、当事者間で目的物が何であるのか正確に特定しておく必要があります。
業務委託、工事請負等の場合、委託する業務の範囲、工事の内容等を特定しておきましょう。契約書の条項で特定しにくい場合は、図面、仕様書、工程表などを添付して、当事者双方の認識に齟齬がないようにします。

<支払の金額、期限、方法>

支払の金額、期限、方法を明確にします。価額は税込なのか、期限に無理はないか、支払方法は一括なのか、分割の場合は保証人等の担保は必要ないか、振込の場合は振込手数料の負担を記載しているかなど、細かい部分の認識の違いから大きなトラブルに発展することも多いので緻密に検討すべきです。
業務委託、工事請負等の場合、長い期間に渡って作業が行われ、作業工程も複雑な取引関係が続きますので、どの範囲の仕事に対する報酬なのかを明らかにします。
特に請負契約は、工事完成後の後払いが原則であり、何らの定めがないと完成まで無報酬で仕事をしなければならなくなりますので、完成引渡しまで数回の分割払いにしておくとよいでしょう。

<引渡しの期限、方法>

引渡しの期限、方法を明確にします。不動産の売買の場合、登記手続きについても記載することが望ましいといえます。

<解除の事由、方法>

企業間における契約は様々な理由により履行が不能になることもあります。そこで、念のため解除の事由、方法を記載することが通常です。また、無催告解除の条項を検討します。
通常、契約の解除は、契約上の債務不履行等があった場合に認められますが、相手方に催告して解除する必要があるため、手間がかかります。そこで、無催告で即時に解除できる事由を決めて条項を定め、直ちに解除できるようにしておくことが望ましいといえます。

<違約金>

契約が履行されないことにより損害が発生した場合、法律上、損害賠償を請求することができますが、損害額の立証が困難である場合が多いことなどを考慮して、違約金をあらかじめ決めておくことが有効です。

<人的担保・物的担保>

債権の担保のために連帯保証人を求めたり、担保不動産を求めたりすることがあります。このような人的担保・物的担保を定めた場合も、契約書に記載しておかなければ、裁判上否定されてしまうことも多いので注意が必要です。

<所有権・危険負担の移転>

所有権および危険負担(当事者の責によらない事由により目的物が滅失・毀損した場合に,売主が代金を請求できるか)の移転時期については,売主にとってみれば,所有権の移転は遅い時期(代金完済時),危険負担の移転は早い時期(引渡時)にした方が有利(買主にとっては逆)になることから,これらの時期をどのように規定するかは重要な事項となります。

<裁判管轄>

相手方が不誠実な場合は、契約書を作成した場合でもトラブルに発展してしまうことは多くあります。そこで、トラブルになった場合、どこの裁判所が管轄するのかを記載します。自社に近い裁判所に管轄がある方が有利であることは言うまでもありません。

2.法的に認められない条項が入っていないか

民法上、契約自由の原則となっており、契約内容に関しては基本的に当事者の合意で自由に定めることができます。
もっとも、どんな契約内容でも自由とすると、例えば社会的弱者に不利な契約内容になり、社会秩序が乱れてしまうことも懸念されます。そこで、労働法など強行規定に反する契約、違法金利など公序良俗に反する契約、暴行を内容とするなど不法行為を契約内容とする契約、監禁を内容とするなど個人の権利又は自由を著しく不当に制限する契約などは、無効な契約となります。
強行規定に反する契約などは、特に法的知識が必要となりますので、法律のプロである弁護士にご相談ください。

当事務所が選ばれる理由

法的側面だけではない会社の継続的な発展のサポートができます。

1.法的側面だけに留まらない企業活動全体のサポート

当事務所には4人の弁護士が所属し、主として企業側でリーガルチェック、債権回収を行っていた弁護士も在籍し、代表弁護士が司法書士の資格も有していることから大企業から中小企業の方のニーズまで幅広く対応することができます。貴社の企業活動について詳細にヒアリングをした上で、ご相談段階から契約締結段階までサポートします。
また、事業承継やM&A、人事評価制度構築などのサービスも行っており、会社の発展をサポートするサービスも行っています。
さらに、契約書1通のリーガルチェックを行うスポットでの業務対応のほか、継続的なサービスをご希望の企業様との間では顧問契約を締結することで、弁護士費用のご負担を抑えた上で迅速なサービスを提供することが可能です。

当事務所が選ばれる理由

2.契約締結前だけでなく契約締結後の取引までのサポート

まず、経営戦略に基づく契約締結前の相談から、契約書作成・リーガルチェックを契約担当者に寄り添って行います。仮に契約書の雛形や骨子がなくとも、取引担当者から聞き取りを行って、ゼロから契約書を作成いたします。その際には、まず貴社の企業活動について詳しく聞き取りを行って、どのような点を気を付けるべきかなどを指摘しながら、貴社のご要望がどこにあるのかを把握して契約書を作成いたします。
その後、契約交渉段階での相談にも対応し、必要に応じて契約締結後の履行段階までサポートいたします。

3.顧問契約締結による会社発展のための継続的サポート

当事務所では、契約書の作成・リーガルチェックなどスポット依頼も対応していますが、現代社会では企業活動に法的知識は必須であって、企業には法務部が必要不可欠なのです。しかし、会社資源には限りがあり、特に中小企業において法務部担当者を設置することは現実的ではありません。そこで、会社を安心して経営し継続的発展を実現するために、顧問契約の締結をお勧めしています。
企業と当事務所との間で継続的な関係を構築することで、企業の業務内容を詳細に理解することができ、より適切かつ迅速なサポートが可能となります。
また、当事務所の顧問契約は、顧問料の積立方式をとっているため顧問料が掛け捨てとならずスポットでの依頼と比べ、より手厚い弁護士のサポートを得ることが可能となります。