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懲戒について(3)

2020/02/04 09:51|カテゴリー:解雇

1 自宅待機命令とは

労働者を懲戒するにあたって,会社内部で事実関係の調査が必要になる場合があります。たとえば,上司から部下へのセクハラが疑われる場合に,そのような事実が確実にあるといえるのかについては,関係者への聴き取り等の調査をしなければ不明な場合が多いと思われますが,加害者と疑われる上司に従前の業務を継続させたまま事実関係の調査をすることが不適切と思われる場合もあると思われます。そのような場合,事実関係を調査し,当該労働者を懲戒するかどうかを判断するまでの間,当該労働者に自宅待機を命じることがあります。これを,自宅待機命令といいますが,あくまで業務上の命令として自宅待機を義務づけているものであり,懲戒処分としての出勤停止とは異なります。

自宅待機命令について,就業規則に明記してある場合も多いですが,仮に就業規則に明記されていなかったとしても,発令することが可能です。

ただし,事実調査の必要性がない場合や不当に長期間自宅待機を命じた場合には違法と判断されることになります。

 

2 自宅待機中の賃金

自宅待機命令は,通常,事実関係がはっきりせず,懲戒をすべきか否か不明な段階で会社が調査を行うために発するものであり,会社の都合で就労を拒否することになりますので,原則として,労働者に対して,自宅待機中の賃金を支払う必要があります(出社をさせた場合に証拠隠滅のおそれがある等の緊急かつ合理的な理由がある場合には,自宅待機中の賃金を支払わなくても適法とされる可能性はありますが,実務上は,賃金全額を支払うことが多いと思われます。)。