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人間関係を良好にすることこそが最大の紛争未然防止策
2019/11/08 10:42|カテゴリー:ハラスメント
労働分野の勉強の一環で読みました裁判例(東京地裁平成27年(ワ)第36800号地位確認等請求事件)についてご紹介したいと思います。
X(女性)は学術専門書籍の出版・販売等を業とするY社に勤務しておりました。
Xは第2子を出産するために産前産後休暇をとり,出産後は育児休暇を取っておりました。
XはY社に復職を申し入れたところ,Y社より海外の子会社へ転籍するか従前より待遇が劣る別の職種へ移るしかない説明され,退職を勧奨されました。
Yはこれを受け入れず,東京労働局長に調停を申立てたところ,調停員会からはXの原職復帰を求める調停案がだされました。しかし,Y社はこの調停案を受諾しなかったため調停不成立となり,調停での解決はできませんでした。
その後,Y社はXに対し,協調性が不十分で改善の見込みがないことなどを理由として解雇する旨通知をしました。
そこで,XはY社に対し,解雇無効を主張して労働契約上の地位確認の訴えと精神的苦痛を被ったとして慰謝料請求訴訟を提起しました。
なお,Y社内において,Xの能力はチームワークの項目以外はすべて最高評価がつけられておりました。
労働契約法16条には「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効となる。」と規定されております。
また,雇用機会均等法9条3項では妊娠や出産等を理由とする不利益扱いを禁止されており,育児介護休業法10条では育児休業をしたことを理由とする不利益扱いを禁止しております。
裁判所は詳細な事実認定のもと,Xに対する解雇は,男女雇用機会均等法9条3項及び育児休業法10条に違反し,客観的に合理的理由を欠いており,社会通念上相当であるとは認められないから労働契約法16条に基づき無効と判断しました。
判旨に現われているXとY社の主張を見ますと同じ事実についてXとY社の認識の齟齬,Xにとっては十分な対応と思っていたがY社にとって不十分であったり,Xにとっては不十分であるがそれにはやむを得ない事情があるにも関わらずそこについてY社と情報共有ができていなかったり。
コミュニケーションが取れていれば解消できたのではないかと思われるものばかりです。
では,どうしたらコミュニケーションが取れるのでしょうか。ここで行き着くのが人間関係です。
では,人間関係はどうしたら良くなるでしょうか。Y社としてはXに指摘するばかりでなくY社の方でも改善できる点はなかったのでしょうか。
会社は組織である以上,多種多様な考え方をもった人が集まります。そこで,人間関係の問題は必ず起きます。そこでの対処次第で会社は能力ある人に取って活躍の場となるし,他方で訴訟まで行くほどの対立関係になります。
人間関係を良好にすることこそが最大の紛争未然防止策です。今一度,家族,従業員,同僚,友人などの自分にとって大切な人との関わり方を振り返ってみましょう。
なお,人間関係を良好にするには選択理論心理学が有効と考えております。選択理論心理学につきましては別の機会に紹介したいと思います。