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事業承継~熊本・八代の製造業が工場・技術・取引先を守る引継ぎ~

2026/09/11 20:06|カテゴリー:事業承継製造業

こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。

熊本・八代の製造業の経営者から、事業承継について「税金の対策は税理士に聞いたが、ほかに何を準備すればいいのか」というご相談をよくいただきます。

結論からお伝えすると、製造業の事業承継は、税金やM&Aの売却価格の話より先に、株式・工場の土地建物・取引先との契約・技術(知的財産)の4点を点検しないと途中で止まってしまいます。進め方のコツは次の3つです。

  • 承継方法の候補(親族内・社内・M&A)を並べ、5〜10年の時間軸で考え始める
  • 株式・工場用地・契約書・知的財産の「法務の棚卸し」をして、候補を絞り込む
  • 税理士・金融機関と並行して、弁護士が契約と権利関係を整理する
製造業の工場で弁護士が社長と後継者に事業承継の助言をするイメージ

実際の承継でつまずくのは、「工場の土地が社長個人の名義だった」「主要取引先との契約に、株主が変わったら解除できる条項があった」「特許が社長個人の名前で出願されていた」といった法律面の問題です。

この記事では、八代市で中小企業の顧問をしている弁護士の視点から、製造業ならではの論点に絞って、事業承継の法的な準備を解説します。

製造業の事業承継が止まる原因と、承継方法の選び方

技術・資産・取引が社長個人に集中している

製造業の承継が難しくなりやすい理由は、会社の大事なものが社長個人に集中していることにあります。

  • 技術:加工条件や品質の見極めが、社長やベテラン職人の頭の中にしかない
  • 資産:工場・設備が重く内部留保も厚いため、自社株の評価額が高くなりやすい。工場用地が社長個人の名義のこともある
  • 取引:「先代だから任せていた」という取引が多く、単価や品質保証の範囲が口約束のまま

こうした「社長個人に紐づいたもの」を、会社の財産・会社の契約として整理し直すことが、製造業の事業承継の中心作業になります。

承継方法ごとに、最初に確認すべき法務論点

事業承継の方法は「親族内承継」「社内承継(役員・従業員)」「第三者承継(M&A)」の3つです。中小企業庁の事業承継ガイドラインでは、後継者の育成も含めて5〜10年の準備期間が目安とされています。

どの方法を選ぶかで、最初に手を付けるべき法務論点が変わります。

承継方法 向いている場面 最初に確認すべき法務論点
親族内承継 子どもや親族が現場に入っている 株式と工場用地の相続対策、他の相続人の遺留分
社内承継(役員・従業員) 技術を知る工場長や役員がいる 株式の買取資金と方法、経営者保証の引継ぎ、親族株主との調整
M&A(株式譲渡) 後継者がいない/大手の傘下で成長したい 名義株・所在不明株主の整理、取引契約の支配権変更条項、簿外債務
M&A(事業譲渡) 一部の工場・事業だけを引き継ぐ 許認可の取り直し、従業員・取引先の個別同意、工場不動産の移転

方法を決め打ちせず、法務の棚卸しで見つかった課題(株式が分散している、工場用地が個人名義、など)を踏まえて絞り込むと手戻りが少なくなります。

後継者がいないからといって、廃業しか道がないわけではありません。M&Aで同業者や取引先に引き継げば、買い手の意向や契約条件次第で、従業員の雇用や取引先への供給を維持できる可能性があります。

株式を後継者に集める——名義株・分散株・所在不明株主

会社の経営権は、株主総会の議決権で決まります。親族内承継やM&A(株式譲渡)では、「株式が今、誰の手にあるか」の確認が出発点です。

株主名簿と実態がずれている「名義株」

平成2年の商法改正までは、株式会社の設立に発起人が7人以上必要でした。そのため、昔からある製造業の会社では、親族や知人に名前だけ借りた「名義株」が残っていることがよくあります。

名義上の株主やその相続人から「自分の株だ」と主張されると、承継や売却の大きな障害になります。出資の経緯を確認し、名義人から「実質的な株主ではない」旨の確認書をもらうなど、関係者が元気なうちに整理しておきましょう。

相続で株式が分散しないための手当て

社長が遺言を残さずに亡くなると、株式は相続人全員の共有(準共有)になります。この場合、相続人の中から権利を行使する人を1人決めて会社に通知しない限り、原則として議決権を行使できません(会社法106条)。相続人の意見が割れると、株主総会で役員を選ぶことすらできず、会社の意思決定が止まってしまいます。

後継者に株式を集めるには、次の方法を組み合わせます。

  • 遺言で、株式を後継者に相続させると定める
  • 計画的に生前贈与する(税負担は税理士と試算)
  • 定款に「相続人等に対する売渡請求」の定めを置き、分散した株式を会社が買い取れるようにする
  • あらかじめ定款で議決権を制限した種類株式を設計・発行し、後継者以外の相続人にはその株式を渡す(議決権がない代わりに配当を優先するなど、経済面の配慮も検討)

なお、相続人等に対する売渡請求は、会社が相続があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議を経て行う必要があり、会社の分配可能額の範囲でしか買い取れません。社長自身の相続の際に、逆に後継者側の株式が売渡請求の対象になるおそれもあるため、導入は株主構成を見て慎重に判断します。

連絡のつかない株主がいる場合

会社法には、通知が5年以上届かず配当も受け取っていない株主の株式を、会社が売却・買い取りできる制度があります。経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けると、この5年を1年に短縮できる特例もあります(対象となる会社の要件や、公告・個別催告などの手続を満たす必要があります)。

所在不明の株主が多いと、M&Aで買い手から敬遠される原因にもなります。早めに手続を検討しましょう。

工場の土地・建物は誰のものか——事業用資産の名義と相続

製造業の事業承継で特に多い落とし穴が、工場の土地や建物が社長個人の名義になっているケースです。会社は社長から土地を借りて操業しているだけ、という形です。

社長個人名義の工場用地は「会社の外」にある

社長個人の土地は、社長が亡くなれば相続財産です。後継者以外の相続人が相続すると、賃料の値上げや明渡しを求められたり、共有状態になって担保に入れられなくなったりするおそれがあります。

とくに会社が無償で土地を使っている(使用貸借)場合は、借地借家法による借主の保護が及ばないため、賃貸借に比べて会社の立場は不安定です。社長が亡くなっただけで当然に使えなくなるわけではありませんが、相続人との間で使用を続ける条件や終了時期をめぐって争いになるおそれがあります。

工場用地の持ち方 承継時のリスク 検討したい対策
社長個人名義・無償で使用 相続人から返還を求められやすい。借主の保護が弱い 賃貸借契約書の作成、遺言で後継者に相続させる
社長個人名義・賃料あり 相続人が貸主になり、賃料交渉が生じる 契約書の整備、会社への売却や現物出資の検討
会社名義 株価に反映され、評価額が高くなる 株価対策と納税資金の準備(税理士と連携)

遺留分への備え——経営承継円滑化法の遺留分特例

株式や工場用地を後継者に集めると、他の相続人の「遺留分」(最低限の取り分)を侵害することがあります。現在の民法では遺留分は金銭で請求される仕組みのため、後継者が多額の支払いを求められるおそれがあります。

自社株式については、経営承継円滑化法の遺留分特例を検討できます。

  • 除外合意:後継者が贈与を受けた株式等を、遺留分の計算から外す
  • 固定合意:株式等の評価額を合意時点の価額で固定する(後継者の努力で上がった株価を計算に入れない)

この特例には、後継者と、遺留分を有する推定相続人全員の書面による合意が必要です。そのうえで、合意から1か月以内に経済産業大臣の確認を申請し、確認を受けてから1か月以内に家庭裁判所の許可を申し立てます。

なお、特例の中心は後継者が贈与を受けた自社株式です。社長個人名義の工場用地が当然に対象になるわけではないため、遺言、会社への譲渡、賃貸借契約の整備、他の相続人への代償金の準備など、別の手当ても組み合わせます。家族の理解を得ながら進める分野なので、早い段階から弁護士が関与するのが望ましいといえます。

取引先との契約を点検する——支配権変更条項・金型・口頭取引

製造業の価値は、取引先との継続的な取引にあります。承継後もその取引が続くかどうかは、契約書の中身で決まります。

取引基本契約の「支配権変更条項」を確認する

大手メーカーとの取引基本契約には、「株主構成や代表者が変わったときは通知する」「支配権が変わったときは契約を解除できる」といった条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)が入っていることがあります。

代表者変更の通知条項と、支配権変更(株主の変更)の条項は別物です。M&Aで株式を売る場合はもちろん、親族内承継でも株式が後継者に移れば支配権変更の条項に当たる可能性があります。条項の内容を確認し、必要なら事前に取引先の承諾を得ておきましょう。

口約束の取引は書面にしておく

単価、支払サイト、不良品が出たときの責任範囲などが口約束のままだと、代替わりのタイミングで「そんな約束はしていない」と言われかねません。承継前に、主要取引先との条件を書面で確認しておきましょう。

また、2026年1月からは、下請法を改正した「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行されています。承継前には、自社の立場ごとに次の点を確認しておきましょう(製造業の下請取引と発注書面の整備の記事もご覧ください)。

  • 受注側(大手の協力会社)として:発注書・検収条件・単価改定の履歴・支払サイト・減額や返品の記録を、取引先ごとの一覧に整理する
  • 発注側(外注先を持つ立場)として:発注内容の明示や支払期日のルールを守れているかを点検する

金型・治具・支給品は「誰の物か」を一覧にする

工場には、取引先から預かっている金型や支給材、代金を払ってもらった治具など、所有者があいまいな物が多くあります。M&Aの買収前調査(デューデリジェンス)でも必ず確認される項目です。

「品名・所有者・保管条件・保管費用の有無」を一覧にしておくと、承継後のトラブルを防げます。量産が終わった金型を取引先から無償で長期保管させられている場合は、取引条件の見直しを求める材料にもなります。

技術とノウハウを会社に残す——特許・職務発明・営業秘密

製造業の強みである技術は、法律上の手当てをしておかないと、社長の相続や従業員の退職とともに会社から流出してしまいます。

特許・商標の名義と職務発明規程

中小企業では、特許や商標を社長個人の名義で出願していることがあります。その場合、権利は社長個人の財産であり、社長が亡くなれば相続の対象になります。

生前に会社へ譲渡する場合、特許権の移転は特許庁に移転登録をしなければ効力が生じません。相続の場合は登録がなくても権利は移りますが、権利関係を明確にするため速やかに届出をするのが実務です。事業に使っている権利は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で権利者を確認し、承継前に会社名義へ移しておくのが基本です。

また、従業員が仕事の中で生み出した発明(職務発明)は、社内規程であらかじめ定めておけば、特許を受ける権利を最初から会社に帰属させられます。ただしその場合、発明者に「相当の利益」(報奨金など)を与える仕組みと、従業員との協議や基準の開示といった手続の整備が必要です。規程がないまま承継やM&Aを迎えると、権利の帰属や発明者への対価をめぐる争いのもとになります。

熟練工のノウハウは「営業秘密」として管理する

特許にしない加工条件や配合比率などのノウハウは、不正競争防止法の「営業秘密」として守ることができます。保護を受けるには、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • 秘密管理性:「秘密」と表示し、閲覧できる人を限るなど、秘密として管理していること
  • 有用性:事業活動に役立つ情報であること
  • 非公知性:一般に知られていないこと

ベテラン職人のノウハウをマニュアル化する際は、同時に秘密管理のルールを作り、従業員から秘密保持の誓約書をもらっておきましょう。退職後の競業避止義務は、期間・地域・代償措置などから有効性が厳しく判断されるため、合理的な範囲で定めることが大切です。

承継前の法務チェックリスト(6項目)

ここまでの論点を、承継前に確認したい「法務の棚卸し6項目」として整理しました。

製造業の事業承継 承継前の法務チェック6項目(株式の集約・工場用地の名義・取引基本契約・特許と金型・許認可・経営者保証)

承継前の「法務の棚卸し」をご相談ください

次の資料をお持ちいただければ、承継の障害になりそうな点を洗い出します。

定款/株主名簿/工場の登記事項証明書・固定資産税の課税明細/主要取引先との契約書/特許・商標の一覧/借入・保証の一覧

八代・熊本の製造業の方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

許認可・環境規制・従業員——株式譲渡と事業譲渡の違い

M&Aや組織再編で事業を引き継ぐ場合、「株式譲渡」と「事業譲渡」のどちらを選ぶかで、手続の重さが大きく変わります。

項目 株式譲渡(株主が変わる) 事業譲渡(事業を移す)
会社・法人格 そのまま 事業だけが別会社へ移る
許認可・届出 原則そのまま(役員変更などの届出が必要なものあり) 多くは譲受側で新たな取得・届出が必要(法令ごとに異なる)
従業員 雇用契約はそのまま続く 従業員一人ひとりの同意(転籍)が必要
取引先との契約 原則そのまま(支配権変更条項に注意) 契約ごとに相手方の同意が必要
未払残業代などの簿外債務 会社に残る(買い手が実質的に引き継ぐ) 契約で承継範囲を定めるのが原則(商号を続けて使う場合や詐害的な譲渡などの例外あり)
土壌汚染の調査 株主の交代だけでは調査義務は生じない 工場の廃止・移転や大規模な造成を伴えば問題になりうる

製造業で確認が必要な許認可・届出

業態によって、危険物の貯蔵・取扱い(消防法)、毒物・劇物の製造、高圧ガス、産業廃棄物の処理、食品製造の営業許可などが関係します。

事業譲渡の場合、承継の規定がある許認可もあれば、新たに取り直さなければならないものもあります。許認可が切れて操業が止まる事態を避けるため、スケジュールは所管の役所に事前確認しながら組み立てます。

土壌汚染は工場の廃止・移転のときに問題になる

株式譲渡で株主や社長が変わるだけなら、そのこと自体で土壌汚染対策法の調査義務が生じるわけではありません。

一方、承継を機に有害物質使用特定施設の使用を廃止する場合は、原則として土壌汚染状況調査が必要になります(土壌汚染対策法3条。工場として使い続けるなど、都道府県知事の確認を受けて調査が猶予される場合もあります)。また、一定規模以上の土地の形質変更をするときは、事前の届出が必要です(同法4条)。

工場の閉鎖・移転・建替えを伴う承継や廃業を考えているなら、早めに調査費用や対策費用の見込みを立てておきましょう。M&Aでは、株式譲渡であっても買い手が環境リスクを調べ、売買価格や表明保証の内容に反映させるのが一般的です。

従業員の引継ぎと労務の総点検

株式譲渡では雇用はそのまま続きますが、未払残業代や就業規則の不備も一緒に引き継がれます。着替えや朝礼の時間の扱い、36協定の運用などは、製造業で特に問題になりやすい点です(製造業の労務管理と社員トラブル対応の記事もご参照ください)。

事業承継はいつから始める?経営者保証と事業承継税制の期限

後継者が「保証」を理由に尻込みしないために

中小製造業では、設備投資のための借入れに社長が個人保証をしていることがほとんどです。後継者が承継をためらう大きな理由が、この経営者保証です。

「経営者保証に関するガイドライン」と、事業承継時に焦点を当てたその特則では、前経営者と後継者の両方から保証を取る「二重徴求」は原則として行わないこと、後継者に保証を当然に引き継がせないことなどが示されています。

保証解除の交渉では、会社と経営者個人の資産・経費をきちんと分けていること、財務状況を金融機関に適時に開示していることが重視されます。承継の数年前から、こうした体制を整えておくことが交渉力になります。

事業承継税制(特例措置)は「計画提出」と「株式移転」の2つの期限

自社株の贈与税・相続税の納税を猶予・免除できる事業承継税制(特例措置)は、期限付きの制度です。令和8年度税制改正(令和8年4月1日施行)で、法人版の「特例承継計画」の提出期限は、従来の令和8年3月31日から令和9年(2027年)9月30日まで延長されました。

ただし、実際に株式を贈与・相続して特例を使える期限は令和9年12月31日のまま据え置かれています(中小企業庁・都道府県の公表資料で2026年9月に確認)。計画を出せば間に合うわけではなく、株価の評価、後継者の役員就任、家族の合意、計画の作成といった準備を逆算して動く必要があります。

承継までの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 5〜10年前:後継者の決定・育成、承継方法の検討、法務の棚卸し
  2. 3〜5年前:株式の集約、工場用地の名義整理、契約書・規程の整備、保証解除に向けた体制づくり
  3. 1〜3年前:遺言・遺留分特例の合意、特例承継計画の提出、取引先への説明
  4. 承継時:株式の移転、代表者交代の登記・届出、保証の切替え交渉

事業承継税制には、承継後も一定期間、代表者の地位などの要件を満たし続ける必要があるなど細かな条件があります。最新の制度内容と自社への適用可否は、必ず顧問税理士と確認してください。

熊本・八代の製造業から多いご相談

取引の広がりと人材競争が、承継の論点を増やしている

熊本県内では、半導体関連企業の進出をきっかけに、部品・設備・保守などの取引が広がる一方、人材の獲得競争も激しくなっています。八代周辺でも、大手工場の協力会社や食品加工など、地域に根ざした中小製造業が多くあります。

こうした環境のなかで、当事務所には次のようなご相談が寄せられます。

  • 新しい大手取引先から取引基本契約や秘密保持契約の締結を求められたが、代替わりしたときの条項が心配
  • ベテランが好条件で引き抜かれ、加工ノウハウが持ち出されないか不安
  • 取引先から「承継の見通し」や「社長に何かあったときの体制」を聞かれた

事業承継の準備は、いまや取引と人材を守るための経営課題でもあります。

相談先の使い分け

  • 熊本県事業承継・引継ぎ支援センター:公的な無料相談窓口。後継者探しやM&Aの入口として
  • 顧問税理士:株価の評価、贈与税・相続税、事業承継税制
  • 金融機関:承継資金の融資、経営者保証の見直し
  • 弁護士:株式・不動産・契約・知的財産の権利関係の整理、遺言や合意書の作成、M&A契約の審査、親族間の調整

製造業の顧問弁護士がいれば、承継の数年前から契約書や規程を少しずつ整え、承継のときに慌てずに済みます(顧問弁護士の活用法は製造業のクレーム対応と日常法務の記事でも紹介しています)。

よくあるご質問

Q. 子どもに継がせることが決まっていても、弁護士に相談する必要はありますか?
A. 後継者が決まっていても、名義株の整理、工場用地の相続、他の相続人の遺留分など、法的な準備は残ります。むしろ親族内承継こそ、相続トラブルを防ぐための遺言や合意書が重要です。

Q. 後継者がいない場合、廃業するしかないのでしょうか?
A. 同業者や取引先へのM&A、従業員への承継といった選択肢があります。廃業にも、従業員への対応、取引先への通知、工場の土壌調査など多くの手続が必要ですので、決める前に一度ご相談ください。

Q. 何から手を付ければよいですか?
A. まずは定款、株主名簿、工場の登記簿、主要取引先との契約書を集めることから始めてください。書類をそろえるだけでも、課題の多くが見えてきます。

まとめ

  • 製造業の事業承継は、税金やM&Aの価格の前に、株式・工場用地・取引契約・技術の4点を点検しないと止まりやすい
  • 準備期間は5〜10年が目安。承継方法ごとに最初に確認すべき法務論点が違う
  • 名義株・分散株を整理し、株式を後継者に集める
  • 社長個人名義の工場用地は、相続・遺留分まで見据えて手当てする
  • 取引基本契約の支配権変更条項、口約束の取引、金型の所有関係を点検する
  • 特許の名義、職務発明規程、営業秘密の管理で技術を会社に残す
  • 事業承継税制(特例措置)は、計画提出が2027年9月末、株式の移転が2027年12月末まで

熊本・八代の製造業の事業承継は弁護士法人Si-Lawへ

承継前の法務の棚卸しから、遺言・合意書の作成、取引先契約の見直し、M&A契約の審査まで一貫してサポートしています。お問い合わせフォームからご相談ください。

【参考】中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」/中小企業庁「事業承継」/中小企業庁「経営者保証」/環境省「土壌汚染対策」(いずれも2026年9月確認)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事情に応じた判断は専門家へのご相談をおすすめします。企業法務でお悩みの際は、弁護士法人Si-Law(八代市)へお気軽にご相談ください。