経営のスピード
2019/10/15 10:35|カテゴリー:経営
松下電器のある事業部がうまくいかず、事業部長が交代して立て直しを図ることになり、新任の事業部長が、松下幸之助のもとに挨拶に訪れて言いました
「いろいろ実態を調べましたが、これは必ずよくなります。だから半年間は黙ってみてください。必ず良くします。」
これに対して松下幸之助は笑顔でこう答えたそうです。
「そうか、半年どころか1年でもなんぼでも待つで。わしは1年でも2年でも待つけどね、しかし世間が待ってくれるかどうかは知らんで。」
会社を良くするためには改善を積み重ねなければなりません。しかし、改善しようという気持ちがあるにせよ、ついつい目標達成の期日を内部の事情で考えてはいないでしょうか。
松下幸之助が真に求めていたのは、自分たちがしている程度の努力は、他の会社でもしているに違いないと緊張感を保ち、世間が待ち望んでいる商品をどこの会社よりも早く、全力で開発するのだという固い決意だったのかもしれません。
時代は違えども、戦国の雄である織田信長も、何よりもスピードを重視していました。天下布武を目指して、周囲の敵対する戦国大名の誰よりも早く次々と手を打ち、多くの負け戦もしながら、負け戦と見るや神速ともいえる行動で撤退を決めて生き抜いていきました。
凄まじいスピードで変化する現代においては特に、たとえ1ヶ月でも、1週間、1日、1時間でも早く目標が達成できるよう全力を尽くす。そして目標を実現したら、さらにより高い目標を設定する。人よりも先んずる経営を実現するには、何よりもスピードを大切にし、改革、改善を続ける姿勢が必要なのだと思います。
松下幸之助は次の言葉も残しています。
「時間をかけなければよい仕事ができないとか、素晴らしい発明が生まれないという考えにとらわれるのは危険である。
われわれはスピードの時代であるということをもっと自覚して、今日考えたことはその日に実行してしまうこと、思い付いたことはすぐ実行し実現するという考え方で仕事を運んでいかねばならない。」