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債権回収
お金は会社の血液です。しかし、会社を経営していれば、必ず、取引先の入金の遅れや、売掛金未回収といった場面に遭遇します。
電話や直接面談して催促しても支払われない場合、どうしてよいか分からず途方にくれるか、行き過ぎな取立てをしてしまうこともあります。行き過ぎな取立ては、一歩間違えると、脅迫や恐喝などと言われ、売掛金を支払わない方が悪かったにもかかわらず、逆に相手方から損害賠償請求を受けることもあります。
そこで、違法とならずかつ、効果的に売掛金・債権を回収する手段をお伝えします。
債権回収手段
1.弁護士が売掛金未回収の取引先に電話・面談して催促する
債権や売掛金が回収未了の場合、多くの会社では、弁護士に相談する以前に、自社で電話や面談による催促を行っておられるものと思われます。
しかし、弁護士が電話や面談で交渉することで、これまで支払おうとしなかった取引先の反応が変わり支払われることもあります。
一般企業は問題なく取引をしていれば弁護士から連絡があることはないため、弁護士から連絡があっただけで、間接的に強制をされたような心理となり、支払わざるを得ないという考えになるケースも多くあります。
2.弁護士名にて内容証明郵便で催促・督促する
内容証明郵便は、弁護士に依頼しなくても、自ら売掛金等を請求する内容のものを作成してこれを相手方に送付することもできます。
確かに、普通郵便よりは心理的な圧力を与えることができるかもしれませんが、会社名で内容証明郵便を送付した場合、相手方に対する強制力はさほど強くありません。
これに対して、弁護士が弁護士名で内容証明郵便を送付した場合、支払わなければ法的手段を執らざるを得ない旨の文言等が入っているため、取引先は間接的に強制をされたような心理となり、裁判を起こされることを回避するため、支払いに応じる可能性が高くなります。
3.民事調停手続をする
調停は、裁判所を利用する手続ですが、弁護士を立てずに、自ら調停の申立を行うことも可能です。
しかし、調停はあくまで話し合いですから、相手方がそもそも裁判所に出頭しなければ成立しません。また、裁判所に行ったこともない方が多いため緊張して上手く事実を伝えられないこともあります。
これに対して、弁護士が代理人として関与して調停を申し立てた場合には、当事務所の経験では、相手方が不出頭だった経験はなく、調停が空振りに終わることはほとんどないと言えるでしょう。
4.支払督促手続
支払督促手続とは、「支払督促」という書類を裁判所から相手方に送付して貰い、相手方の反論がなければ、「支払督促」に記載された債権を公的に認めて貰うことができるという制度です。
しかし、相手方が異議を申し立てた場合には、通常の訴訟手続きに移行してしまいますので、時間を浪費するおそれがあります。したがって、支払督促手続を検討するとしても、まずは債権回収に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。
5.少額訴訟手続
少額訴訟手続とは、60万円以下の金銭の支払を請求する訴訟を提起する際に求めることができる特別な訴訟手続で、原則として審理を1回のみで終わらせて直ちに判決を行う手続です。
しかし、少額訴訟も、相手方が応じず、通常訴訟への移行を求めた場合には、通常訴訟へ移行されてしまいますので、時間を浪費するおそれがあります。
また、少額訴訟によってなされた判決に、相手方が異議を申し立てた場合、再び審理をやり直すことなり、大きく時間を浪費してしまいます。
したがって、少額訴訟手続を検討するとしても、まずは債権回収に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。
6.訴訟手続(通常訴訟手続)
訴訟手続については、時間がかかるというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は第1回目の裁判期日終了後直ちに判決が出るケースも多くあります。
また、相手方が裁判期日に出頭した場合でも、事実関係を争うことなく「一括では支払えないので、分割払いにして欲しい。」等と和解の申し入れをしてくるケースも非常に多くあります。また、裁判上の和解交渉がまとまらないときはいつでも和解交渉を打ち切って、早期に判決を貰うことができます。
さらに、相手方の住所が判明しない場合でも、公示送達により、判決を貰うことが可能です。
以上のとおり、訴訟手続は、債権・売掛金を回収する方法としては一番の正攻法といえますので、債権回収に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。
7.強制執行手続
確定判決、和解調書、調停調書などは「債務名義」と呼ばれ、相手方が任意の支払に応じない場合、裁判所に強制執行を求めることができます。
強制執行には、大きく分けて、①不動産執行、②動産執行、③債権執行の3種類があります。この中でもっとも迅速に効果的に回収できるのは③債権執行といえるでしょう。
債権執行の中心は銀行預金の差押えとです。銀行預金を差押えれば、回収すべき金額の範囲内である限り、差押時の預金残高をそのまま回収することができます。
また、相手方が企業であれば、仮にその口座にほとんど預金がなかったとしても、営業に重大な支障が生じるため、任意に代金を支払わせることができる場合があります。
また、相手方が債権を有している相手方の取引先に対する売掛金が判明している場合には、相手方の有する当該債権を差押えることもできます。
相手方は、自らの取引先からの信用を失いたくないとの理由から、差押後に任意に支払ってくる可能性もあります。
このように、強制執行手続は債権回収における最後の手段として非常に有効です。
取引先が、債権・売掛金を支払わない場合、まずは弁護士にご相談下さい。
弁護士に債権回収を依頼するメリット
債権回収を弁護士に依頼すると、下記のようなメリットがあります。
1.交渉が有利になる
弁護士が代理人となって、債務者に内容証明郵便を送付するだけで、債務者が弁済に応じるケースは数多くあります。弁護士が弁護士名で内容証明郵便を送付した場合、支払わなければ法的手段を執らざるを得ない旨の文言等が入っているため、取引先は間接的に強制をされたような心理となり、裁判を起こされることを回避するため、支払いに応じる可能性が高くなります。
取引先が経営破綻しそうな場合、債権回収は時間との勝負になります。交渉段階でできる限り早く回収しなければ他の債権者に債務者の財産を持って行かれてしまうことも十分にありますので、お早めに弁護士にご相談ください。
2.適切な法的手続きがとれる
前述のとおり、債権を回収するためには様々な方法があり、ケースごとに適切な手段をとる必要があります。
弁護士は法律のプロであり、債権回収のプロです。弁護士に相談すれば、どの方法がもっとも適切か判断することが可能となります。
3.訴訟手続や強制執行手続きを円滑に遂行できる
訴訟手続は、債権・売掛金を回収する方法としては一番の正攻法といです。しかし、訴訟手続には高度の専門性が必要となります。当事者本人が訴えを提起して勝訴することはそう容易ではありません。
貴社に有利な証拠を収集して整理し、貴社の主張を説得的に行うための書面を作成する、といったことは大変な手間がかかる作業であるため、専門家である弁護士に依頼したほうが合理的であり効果的です。また、判決を得た後の強制執行手続も専門的知識が必要です。
弁護士に依頼することで、訴訟手続や強制執行手続を適正かつ円滑に遂行し、債権回収を図ることができます。