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労務・労働問題11労働問題解決手段

ここでは、労働問題を解決する手段について説明いたします。

任意交渉

労働紛争が発生した場合、労働者個人による任意交渉が考えられます。

任意交渉によるメリット

任意交渉による解決を図るメリットは、交渉内容によって、どのような方法をとるかを柔軟に選択できることにあります。

使用者と対立関係となる問題でも、労働者が退職までは考えていないのであれば、使用者と労働者がお互いに譲歩してあるお互いに納得のいく内容で合意することできます。

また、任意交渉では経済的コストがかからないというメリットもあります。

任意交渉によるメリット

任意交渉によるデメリット

一方、任意交渉による解決のデメリットは、あくまでもお互いの話し合いによる解決方法ですので、使用者と労働者がお互いに譲歩する気がなければ何も解決することができないこともありえます。

労働組合の利用

会社内機関のほかに、会社内の労働組合に相談するという方法も考えられます。

労働組合利用のメリット

労働組合を利用するメリットは、組合による集団の力を用いた交渉を行うことができるために、より強い力で交渉を進めることが期待できる点にあります。

労働組合のデメリット

一方、労働組合を利用するデメリットは、会社の言いなりになっている組合の場合には、会社と対立している事項について相談しても、何も動いてくれず、何の解決も図れないということもあり得ます。

行政機関の利用

紛争解決の手段としては、会社外の行政機関の利用が考えられます。

行政機関利用のメリット

行政機関を利用するメリットは、会社(使用者)側に対し、行政機関からの行政指導等という労働紛争を解決させるための強い働きかけが可能になるという点にあります。例えば、労働基準法に違反する事項(賃金未払や一方的な解雇)に関する労働紛争であれば、労働基準監督署に相談することで、是正勧告等の行政指導を出してもらうことが期待できます。

行政機関利用のデメリット

行政機関を利用するデメリットは、会社側が行政指導等に従わない場合、直ちに強制力を伴った手段まで実施できるわけではないという限界もある点が挙げられます。

保全処分

保全処分とは、民事訴訟の本案の権利を保全するための仮差押及び本案の権利関係について仮の地位を定める仮処分をいいます。

保全処分のメリット

保全処分は、正式な裁判の結論が出るまでに時間を要するために不利益が生じる可能性がある場合に、権利等を保全するために仮の決定を下す手続です。したがって、保全処分のメリットは、権利関係を保全することができるとともに、通常の裁判よりも迅速な判断を下すことが期待できるという点にあります。

また、保全処分の結果、相手方と早期に和解が成立することも期待できます。

保全処分のデメリット

一方、保全処分のデメリットは、通常の裁判と異なり、あくまでも仮の権利関係を定めるにすぎないため、終局的な解決ではない点が挙げられます。

また、保全処分の申し立てによっては、担保金を提供することが要求される点もデメリットとなります。

労働審判

労働審判とは、最近の個別的労働関係に関する紛争の増加傾向に対処するために、迅速かつ適切に解決を図ることを目的に制定された手続です。労働審判は、原則として3回以内の期日で、調停(話し合い)による解決が試みられます。

労働審判のメリット

労働審判のメリットは、労働紛争の迅速な解決を図ることを目的とした制度ですから、早期の解決が期待できる点にあります。

労働審判のデメリット

労働審判のデメリットは、早期の解決が期待される反面、当事者の主張がすべて厳密に検討されず譲歩を迫られることが挙げられます。

さらに、労働審判は、あくまでも当事者間の合意がなければ成立しないため、終局的な解決には至らないこともあります。

訴訟

訴訟とは、紛争について裁判所に判決を求める手続をいいます。

訴訟のメリット

訴訟のメリットは、当事者間の合意にかかわらず裁判所による判断によって終局的な解決を得ることができるという点にあり、他の労働紛争の解決手続にはないメリットといえます。

訴訟のデメリット

訴訟のデメリットは、終局的な解決を得るまでに長時間を要する傾向にあります。また、当事者本人で遂行することは困難であり、弁護士に依頼することが一般的であるため、弁護士費用等を含めた経済的負担も大きいという点が挙げられます。