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自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがよい?公正証書遺言の費用・効力と無効リスクを八代の弁護士が解説

2026/10/12

こんにちは。弁護士法人Si-Lawです。「遺言書を残したいが、自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがよいのか」というご相談を、八代の事務所でもよくお受けします。結論から申し上げると、ご家族の仲に不安がある方、財産に不動産が含まれる方は公正証書遺言をおすすめしています。理由は「後で無効を争われにくい」からです。

ご家族が自宅で弁護士に遺言書の相談をしているイラスト

費用の差より、無効リスクの差で選ぶ

自筆証書遺言は紙とペンがあれば書けるため費用はほとんどかかりません。一方の公正証書遺言は、公証人の手数料として財産額に応じた費用(数万円程度が目安。財産額により変わります)がかかります。この差だけを見て自筆を選ぶ方が多いのですが、実務で問題になるのはむしろ「その遺言が有効かどうか」です。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

自筆証書遺言でよくある失敗

日付を「令和八年九月吉日」と書いてしまった、押印がない、財産目録以外の部分をパソコンで作成した、加除訂正の方法が法律どおりでない——こうした形式の不備は、後から直すことができません。また、自宅で保管していた遺言書が見つからない、相続人の一人が持ち出した、という争いも起きます。法務局の自筆証書遺言書保管制度を使えば、紛失や検認の問題は避けられますが、内容そのものが適切かどうかまでチェックしてもらえるわけではない点にご注意ください。

公正証書遺言の費用はいくら?手数料の目安と内訳

公正証書遺言にかかるお金は、公証人の手数料と、書類をそろえる実費に分かれます。手数料は法律(公証人手数料令)で決まっており、財産を渡す相手ごとに、その人が受け取る財産の価額を基準に計算します。目安は次のとおりです。

  • 受け取る財産が1,000万円を超え3,000万円以下…2万3,000円
  • 3,000万円を超え5,000万円以下…2万9,000円
  • 5,000万円を超え1億円以下…4万3,000円
  • 財産の総額が1億円以下の遺言には、1万1,000円が加算されます。

たとえば、長男と長女にそれぞれ2,000万円相当を渡す内容であれば、2万3,000円が2人分で4万6,000円、これに加算分1万1,000円を加えた5万7,000円前後が手数料の目安になります。これに、正本・謄本の交付費用(1枚あたり250円程度)、戸籍謄本・登記事項証明書・固定資産評価証明書などの取得実費が加わります。ご体調により公証人に出張してもらう場合は、手数料が加算され、日当と交通費も必要になります。

一方、自筆証書遺言を法務局の保管制度に預ける場合の手数料は1件3,900円です。弁護士に遺言書の作成を依頼する場合の費用は、財産の種類や相続人の数によって変わりますので、ご相談の際に見通しとあわせてご説明します。

公正証書遺言の効力はどこが強い?

「公正証書にすると効力が強くなる」と言われるのは、次のような意味です。

  • 家庭裁判所の検認が不要です。亡くなった後、すぐに相続手続きに入れます(自筆証書遺言は、法務局の保管制度を使っていない場合は検認が必要で、1〜2か月かかることがあります)。
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失・破棄・改ざんのおそれがありません。全国の公証役場で遺言の有無を検索できます。
  • 公証人が本人の意思を確認し、証人2名が立ち会った記録が残るため、「本人が書いたものではない」「そんな能力はなかった」という主張が通りにくくなります。
  • 金融機関や法務局での手続きで求められる資料がそろっているため、預金の払戻しや相続登記が進めやすくなります。

ただし、公正証書だからといって絶対に覆らないわけではありません。作成当時に判断能力がなかったと認められれば無効となる余地はありますし、遺留分を侵害する内容であれば、遺留分侵害額請求を受けることになります(遺留分侵害額請求の時効は1年?)。内容を決める段階で、誰にどこまで残すのかを整理しておくことが、争いを防ぐ一番の方法です。

作成の流れと証人・書き直しについて

公正証書遺言は、次の流れで作成します。文案の打ち合わせから完成までは、2週間から1か月程度を見込んでおくとよいでしょう。

  • 財産(不動産・預貯金・自社株など)と相続人の範囲を確認し、誰に何を渡すかの文案を作ります。
  • 戸籍謄本、不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書、本人の印鑑登録証明書などをそろえます。
  • 公証役場と日程を調整し、証人2名の立ち会いのもとで、公証人が内容を読み上げて署名押印します。

証人になれないのは、推定相続人や受遺者、その配偶者・直系血族、未成年者などです。ご家族には頼めないため、弁護士や公証役場で手配することが一般的です。遺言の内容が家族に伝わってしまうことを心配される方もいらっしゃいますが、証人には守秘が求められます。

遺言はいつでも書き直せます。新しい遺言を作れば、内容が抵触する部分については後の遺言が優先するのが原則です。財産の中身が変わったとき、相続人に変動があったときは、作り直しをご検討ください。八代・熊本のご相談では、農地や空き家を誰が引き受けるのかを決めきれないまま時間が経ってしまうケースが目立ちます。分け方に迷いがある段階でも、整理のお手伝いができます。

迷ったときの考え方

「とりあえず今すぐ何か残しておきたい」という段階では自筆証書遺言でも意味がありますが、ご自宅や田畑などの不動産があるとき、相続人以外の方に財産を渡したいとき、推定相続人の間に対立があるときは、公正証書遺言をご検討ください。遺言の有効性が争われた場合の対応については、認知症だった親の遺言は無効にできる?争い方と証拠を八代の弁護士が解説もあわせてご覧ください。

八代・熊本での相談実務

遺産分割の話し合いがまとまらない場合、八代市・氷川町・芦北町などにお住まいの方は熊本家庭裁判所八代支部(八代市西松江城町)が調停の管轄になります。調停は月1回程度のペースで期日が入り、解決までに半年から1年以上かかることも珍しくありません。農地や自社株、空き家となった実家が遺産に含まれるケースは八代地域では特に多く、評価や分け方をめぐって争いが長期化しやすい点に注意が必要です。当事務所は八代オフィスを拠点に、必要に応じて連携する税理士・司法書士とともに対応しています。

こんなときは弁護士へご相談ください

  • 相続人の間で話がまとまらず、遺産分割協議が止まっている
  • 遺言書が出てきたが、内容に納得できない・有効なのか分からない

ご相談の流れは、お電話またはフォームでのお申し込み → 日程調整 → 八代オフィスまたは熊本オフィスでの面談(オンライン相談も可)です。相談料は1時間11,000円(税込)、1時間を超える場合は30分ごとに5,500円(税込)です。受付時間は平日8:50〜17:30(土日祝休)です。

遺産分割・遺言・家族信託については、専門サイト「この街の相続」でもくわしく解説しています。

お電話でのご相談:八代オフィス 0965-62-8582(弁護士部門)/熊本オフィス 096-234-6543
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としたものであり、個別の事情によって結論は異なります。記載内容は公開日時点の法令・実務運用に基づくもので、特定の結果を保証するものではありません。具体的な対応は弁護士にご相談ください。

執筆・監修:弁護士 西田幸広(弁護士法人Si-Law)
公開日:2026-09-15 / 最終更新日:2026-09-15